少し難しい内容を伝えたいときのライティング、3つのポイント

文化庁が毎年実施している『国語に関する世論調査』によると、国や自治体が出すお知らせなどの文章に対して、多くの読み手は
(1)言葉や表現
(2)表記や形式
に配慮してほしいと思っているそうです。

国や自治体が出すお知らせなどの文章とは、こういうものです。

 なお、最終親会社等届出事項を提供すべき内国法人及び恒久的施設を有する外国法人が複数ある場合には、原則として全ての法人に最終親会社等届出事項を提供する義務が生じますが、特例として、これらの法人のうちいずれか一の法人が、報告対象となる会計年度の終了の日までに、e-Tax により、最終親会社等届出事項を代表して提供する法人に関する情報(注)を当該一の法人に係る所轄税務署長に提供した場合には、代表となる法人以外の法人は、最終親会社等届出事項を提供する必要がなくなります(措法第 66 条の4の4第6項)。

移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし ー 国税庁

これで 1文です。
わざと読ませないようにしているんじゃないかと言わんばかりの読みにくさです。おおかたの公務員には、マーケティングやデザインという概念はあまり必要ないのでしょうか?

・・・と思ってしまいますが、実はこの読みにくい文章から学べることはたくさんあります。
そこでこの記事では、冒頭の例を題材に、少し難しい内容を伝えたいときのライティング、3つのポイントとしてまとめてみたいと思います。

▼ 冒頭の例を書き起こしました。

置き換え

専門用語

あなたの業界について明るくない人向けに書くつもりで、専門用語や言いまわしを簡単なことばに置き換えると親切です。
そこら辺を歩いているおじさんでも理解できるレベルかどうか、で考えてみると良いと思います。

具体的には、抽象度をあげると分かりやすくなります。
キャンピングカーを知らない人には、車両と言えば伝わりやすくなりますし、乗り物と言えば間違いなく伝わるでしょう。

注釈や説明

どうしても専門用語のまま使いたい場合は、補足を入れてあげましょう。
補足を入れる際は、補足と伝えたい文章の見た目に差をつけて意図的にわかりにくくすると効果的です。

見た目に差をつけると、読み手は伝えたい文章→(必要に応じて)補足の順番で読んでくれます。

補足には見た目に差をつけて、読んでほしい順に読み手を導いてあげましょう。

▼ 置き換えるとこうなります。

はっきりとした表現

受け身・能動態によって先頭にくるワードが違います。その結果、読み手が受けとる意味も変わってくるのです。

受け身:トイレットペーパーが盗まれた
盗んだ人よりも、トイレットペーパーの補充を優先しないと!

先頭にくるのは目的語のトイレットペーパーです。本来なら目的語であるものが主語になり強調されるので、主語は省かれてしまいます。

能動態:誰かがトイレットペーパーを盗んだ
トイレットペーパーを盗んだのは誰だ?

先頭は主語である人です。本来の主語を強調しつつ、主語 + 目的語を一度に伝えられます。

先頭にくるワードが強調されるので、伝えたいものを前に持ってこられるように使い分けられるのが理想です。
ですが基本的には、主語+目的語を正しく伝えられる能動態が良いでしょう。

▼ はっきりとした表現(能動態)にしました。

区切り

文中の区切りと、文そのものの区切り。どちらも重要です。

読点

表記や形式の項目で最も多かったのが、読点についてです。
読点は

  • 読みやすい見た目にする
  • 読み手に解釈を迷わせない

大きくこの 2つの役割をもっています。

特に 2つ目の役割では、読点の打ち方ひとつで意味が大きく変わる場合もあります。

最終親会社等届出事項を提供すべき内国法人及び恒久的施設を有する外国法人

1 最終親会社等届出事項を提供すべき内国法人及び、恒久的施設を有する外国法人
2 最終親会社等届出事項を提供すべき内国法人及び恒久的施設を、有する外国法人
3 最終親会社等届出事項を提供すべき、内国法人及び恒久的施設を有する外国法人

1 内国法人と外国法人
2 内国法人と恒久的施設の両方を有する外国法人
3 内国法人と外国法人どちらも提供すべき

これでは読み手は三分の一の確率で意味を取り違えてしまいます。
解釈が一通りになるように、然るべきタイミングで読点を使いましょう。

段落

伝えたいことと段落の数を揃えましょう。
段落がないと読みづらいですが、むやみに段落を増やしても意味が取りにくくなってしまいます。
『段落の数=伝えたいことの数』で統一しましょう。

文の長さ

一文が長くなるほど、内容が伝わりにくくなります。
特に接続詞が 2つ以上ある文は避けるべきです。

私が住んでいる街にはコンビニが 2つありまして、1つは駅前にあるのですが、もう 1つは国道沿いにあり少し遠いので車が必要です。
これだと結局何が言いたいのかが定まらないので、読み手によっていろんな解釈ができてしまいます。

私が住んでいる街にはコンビニが 2つあります。
1つは駅前に、もう 1つは国道沿いにあります。
国道沿いは少し遠いので、車が必要です。

一文を短くすると、文ごとにメッセージが明確になりました。これで読み手は正しい順番で情報を受け取れるため、解釈は 1つになります。

▼ 区切って分かりやすくしました。

まとめ

以上の 3つのポイントを冒頭の文章に当てはめるとこうなります。

▼ before

▼ after

内容はそのままですが、かなり読みやすくなったと思います。
難しい文章だけでなく、メールや企画書などにも使えるスキルなので、いつもの作業に取り入れてみてください。


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