現代文こそエビデンスに基づいて解答すべきだと、センター過去問を使って示してみる

前回の記事でセンター現代文の解き方について書くと宣言したので。

現代文が苦手な受験生は多い。毎日スマホで見ているLINE、Twitter、ネット記事。日常生活で最も馴染みのある科目であるにもかかわらず、である。現代文はセンター科目の中でも最も抽象的な科目であり、明確な解き方を教えてくれない科目なのだ。学校の授業を振り返ってみてほしい。数学や社会は問題の解き方や覚えるべきワードを教えてくれるのに、現代文は本文と設問の解説をやって終わり。現代文の勉強方法がわからず放置している受験生は多いのではないだろうか。

では現代文で8割取るにはどうすれば良いのか。前回記事と同様センター試験の出題形式に則った、エビデンスに基づく解答法を実際の過去問で実践しようと思う。

現代文は「何となく」では解けない

冒頭で触れたとおり、現代文は馴染みのある科目にもかかわらず、解き方を教わらないがゆえに受験生に放置されてしまいがちな科目なのだ。その結果、受験生の多くは現代文を「何となく」で解いてしまうので得点が安定しないのである。なぜ「何となく」では解けないのか。以下、具体的に見ていこう。

「何となく」でやると引っかかる

センター現代文は、「何となく」で解答すると引っかかる。なぜならセンター試験は平均点がだいたい6割になるように設計されているので、何となく解答すると平均の6割に収束される。8割を取るためには平均=多くの受験生より2割多く正解しなければならない。しかし実際は多くの受験生が、「何となく」で解答してしまう。

現代文は抽象的な文章

なぜ「何となく」で解いてしまうのか。それは現代文が抽象的な文章だからだ。例で説明しよう。

例文①「今この記事を読んでいるあなたは、スマホかパソコンの画面を見ているであろう。」

これを読んだほとんどの人は、皆ほぼ同じ内容を思い浮かべられるだろう。

例文②「今あなたは、慌ただしく移り変わる流行に取り残されまいと、どこか近未来的だが普遍的な装置に夢中である。」

これはどうか。自動運転の車?ディズニーランドの新アトラクション?はたまたタイムマシーン?この文章は読み手によって様々な解釈が成立する。同じ内容を述べているが、例文①は具体的な文章、例文②は抽象的な文章である。そして、センター現代文は②のような抽象的な文章なので、内容がよくわからない。よくわからないうえ様々な解釈が成立するので、正解しづらいのである。

正解は客観的根拠=エビデンスによって決まる

では、どうすれば抽象的な文章で正確な解釈ができるのか。それは客観的根拠、つまりエビデンスに基づいて選択肢を選ぶことだ。

エビデンスとは、抽象的な表現に具体性を与える客観的な根拠のことである。もはやこの表現が抽象的なので、先ほどの例文②に情報を加えて具体的に説明してみよう。

例文②’「今あなたは、慌ただしく移り変わる流行に取り残されまいと、どこか近未来的だが普遍的な装置に夢中である。だが地下鉄では電波が悪く、情報が更新されずイライラ。」

これだとどうだろうか。ほとんどの人がスマートフォンの話だと理解するはずだ。「地下鉄」と「電波」という情報が加えられたことによって具体性が増した。これがエビデンスである。

エビデンスがあると誰が見ても同じ状態になるので、現代文の問題でもこのエビデンスに基づかなければ正解として成立しないのがお分かりいただけただろうか。つまり、選択式の正解はエビデンスによって決まると言っても過言ではないのだ。

エビデンスに基づいて具体化する

つらつらとエビデンスの重要性について述べてきたが、いくらエビデンスが重要でも使えなければ意味がない。実際のセンター試験過去問で実践しよう。
解答の順序はこうだ。

  1. 問題文:何を答えればいいのか(内容・理由・趣旨etc…)
  2. 下線部を含む一文:必ずチェック
  3. 前後の文脈:含む一文で不十分な場合
  4. 選択肢:エビデンスに基づいた解答に最も近いものを選ぶ

全て重要だが、特に4の選択肢。3まででエビデンスを集めたら必ず解答を作ろう(書かなくてよい)。その解答を持って選択肢の中から最も近いものを選ぶのが正攻法で、かつ筆記にも応用できる解き方だ。間違っても選択肢同士を吟味しないこと。これをやると出題者に引っ掛けられる。

平成28年 本試験 第1問 問2

全文は載せられないので、問題から見ていこう。
H28 現代文 第1問 問2

この問題はどういうことかと聞かれているので、説明問題だ。抽象から具体へ言い換えれば良い。リカちゃんというポピュラーなワードだが油断してはいけない。あなたの主観で考えず、必ず本文に書いてあるエビデンスで具体化しなければならない。傍線部A「リカちゃんの捉えられ方が変容している」。変容なのでBEFORE⇨AFTERという変化に関するエビデンスがあるはずと予測し、含む一文を確認する。

これは、評論家の伊藤剛さんによる整理にしたがうなら、特定の物語を背後に背負ったキャラクターから、その略語としての意味から脱却して、どんな物語にも転用可能なプロトタイプを示す言葉となったキャラへと、Aリカちゃんの捉えられ方が変容していることを示しています。

傍線部を含む一文を確認すると、BEFORE⇨AFTERはキャラクター⇨キャラであることが分かる。それぞれのワードの説明は、キャラクターは特定の物語に限定されるもの、キャラはどんな物語にも転用可能なものとある。以上のエビデンスをまとめると、「リカちゃんの捉えられ方が、特定の物語または背景に限定されるキャラクターから、どんな物語にも適応するフレキシブルなキャラに変容している」という解答を作成できるだろう。ここで選択肢を見てみると、ほぼ同じことが①で述べられており、①が正解となる。

平成28年 本試験 第1問 問3

H28 現代文 第1問 問3

この2つのワードの関係についての説明問題。問題文を確認したので、次に傍線部B「人びとに共通の枠組を提供していた『大きな物語』」を含む一文を確認する。

こうしてみると、キャラクターのキャラ化は、B人びとに共通の枠組を提供していた「大きな物語」が失われ、価値観の多元化によって流動化した人間関係のなかで、それぞれの対人場面に適合した外キャラを意図的に演じ、複雑になった関係を乗り切っていこうとする現代人の心性を暗示しているようにも思われます。

問2の内容である「キャラクターのキャラ化」の話から、傍線部Bは、特定の物語または背景に限定される「キャラクター」に関する部分であることは分かったが、これだけでは情報が不十分なので、次の段落を見てみよう。

振り返ってみれば、「大きな物語」という揺籃(ゆりかご)のなかでアイデンティティの確立が目指されていた時代に、このようにふるまうことは困難だったはずです。付きあう相手や場の空気に応じて表面的な態度を取り繕うことは、自己欺瞞と感じられて後ろめたさを覚えるものだったからです。アイデンティティとは、外面的な要素も内面的な要素もそのまま併存させておくのではなく、揺らぎをはらみながらも一貫した文脈へとそれらを収束させていこうとするものでした。

「大きな物語」について言及されている段落。人びとは「大きな物語」というゆりかごのなかでアイデンティティを確立しようとしていたとあり、まさにこの2つのワードの関係性が述べられている。さらに、アイデンティティという抽象表現が「とは」「ではなく、〜」の強調ワードで具体化されており、それは、不安定ながらも外面と内面の両要素を一貫させていくことだという。

以上のエビデンスをまとめると、「人びとは大きな物語という時代性のなかで、不安定ながらも外面的要素と内面的要素を一貫、統合させ自己を確立しようとしていた」という解答を作成できるだろう。ここで選択肢を見てみると、ほぼ同じことが②で述べられており、②が正解となる。

最後に

以上、過去問を使ってエビデンスに基づいた解答法を実践したとおり、エビデンスの重要性を理解していただけただろうか。この記事のポイントを復習する。

  • 現代文は「何となく」では解けない
  • 正解は客観的根拠=エビデンスによって決まる
  • エビデンスに基づいて具体化する

論理的に正しい努力を積み重ねることによって、センター現代文で8割取れるようになるはずだ。少なくとも僕は現役時5割ほどしか取れなかったが、本番では8割取ることができた。ちなみに、実践問題集や模擬問題など様々な教材があるが、実践はセンター過去問が最適だ。受験生ならセンター過去問はまず持っていると思われるが、どうしてもあの分厚さを持ち運ぶのはためらわれる方には、スタディサプリをオススメしたい。人気予備校講師の授業が見放題なだけでなくセンター過去問が見られるうえ、一問一答形式で過去問演習ができる。学校や電車など外出先でもスマホですぐ実践できるのが魅力だ。

以上、現代文の勉強法を確立できていない受験生はぜひ実践して、一日も早く現代文に対して自信をつけてほしい。


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